従来のマーケティングとは異なり、昨今ではインフルエンサーを活用したインフルエンサーマーケティングが隆盛を極めています。しかし一方で、ブランドや企業、広告塔となるインフルエンサーのステマに対する認識の低さが問題となっています。

知らぬ間にステマに加担しないためにステマの基本知識と対策法を解説していきます。

Instagramがステマの温床|その背景とは?

ステマはしてはならないことと理解しているのにも関わらず、なぜステマに加担してしまうのでしょうか。ステマの定義からステマに加担してしまう背景について解説していきます。

ステルスマーケティングの定義

ステルスマーケティング(以下:ステマ)はマーケティング手法の一つで、相手に気づかれないように商品やサービスを宣伝することです。

具体的には、以下のような手法で行われます。

・中立な立場やファンを装って批評する

・広告主がいるにも関わらず、広告であることを隠して商品やサービスを紹介する

「サクラ行為」や「ヤラセ行為」もステルスマーケティングの一つの行為です。

ステマによる違法な宣伝は、欧米ではすでに法的規制されているものの、日本ではまだステマを明確に定義した法律や官公庁のガイドラインはありません。

 2000年代のブログブームでステマが問題化し、任意団体「WOMマーケティング協議会(WOMJ)」がマーケティング業界の健全なる育成と啓発を目的にガイドラインを公表していますが、これは法的規制ではなくあくまでも自主規制の範囲にとどまっています。

なぜInstagramはステマの温床になるのか

昨今、SNSを使ったインフルエンサーマーケティングの市場規模が拡大するとともに、Instagramでステマが横行していることが懸念されています。

その理由として、

・ SNSでステマを規制する明確な法律がない

・広告主やインフルエンサーのステマリテラシーが低い

・投稿される内容に関して企業側でのコントロールが難しい

・広告感をなくすことでより商品やサービスを訴求できる

・フォロワーの減少やエンゲージメント率の低下を防ぐため

インフルエンサーが実際に愛用している商品の投稿なのか、広告であることを隠したステマ行為なのか線引きすることは非常に難しい問題です。


その上、欧米に比べてステマに対する規制が緩い日本では、広告主・インフルエンサー共にステマに対する知識が乏しく、自身がステマにあたる行為をしているという認識がないため、結果としてステマにあたる行為に繋がってしまっているのが現状です。

 SNSでのステマの事例

日本で「ステマ」という言葉が一気に浸透したのが「ペニオク事件」ではないでしょうか?ステマが発覚するたびに非難の対象となりながらも、幾度となく繰り返されているステマ。過去に実際起きたSNSでのステマの事例をご紹介します。

事例1)「アナと雪の女王2」感想漫画事件

クリエイター7名が「アナと雪の女王2」を絶賛する感想が描かれた漫画をTwitterで一斉に投稿し、「ステマではないか」と騒ぎになった事例です。

投稿には「PR」や「広告」といった表記はなく、同じハッシュタグを用いた投稿がされているなどから、ステマ行為が疑われ、瞬く間に炎上しました。

その後、配給元のウォルトディズニー・ジャパンは「本来は投稿に「PR」であることを明記してもらう予定だったが、関係者間でのコミュニケーションが行き届かず、抜け落ちてしまった」と謝罪を行いました。

アナ雪ステマのお詫び

出典:「『アナと雪の女王2』感想漫画企画」に関するお詫び

事例2)フジテレビ女性アナウンサーらによる美容ステマ疑惑

フジテレビの女性アナウンサーが芸能人御用達の人気美容室に通い、ヘアカットだけではなく、その系列店でのネイルやマツエクなどの施術を無料で提供してもらい、その返礼として施術後の写真をInstagramに投稿。

広告塔の役割を果たしているにも関わらず、「PR」や「広告」などの明記が無いためステマに該当するのではないかと報じられた事例です。

これに対してフジテレビは「事実関係の詳細は確認中だが、いわゆるステルスマーケティングに該当する行為ではないと考えている」との見解を示していますが、ネット上では厳しい声も挙げられています。

Instagramにおけるステマ防止策

知らぬ間にステマに加担して、社会的信用やブランドの信頼・価値を傷つけないように、広告主やインフルエンサーはステマ防止策をきちんと理解する必要があります。

広告主とインフルエンサーの関係性を明らかにする

インフルエンサーマーケティングを行う場合には、以下の2点をユーザーに明らかにしなければなりません。

①主体の明示:企業名やブランド名などマーケティング主体の名称

企業や団体の正式名称や通称・略称、商品・サービスのブランド名でも可

②便益の明示:広告主がインフルエンサーにに提供した金銭・物品・サービスなどの提供があること

具体的な明示として、、

・広告主がインフルエンサーへ商品を提供し、体験してもらった場合、

「〇〇(主体名:企業名・プランド名など)から商品をいただきました」

・広告主がインフルエンサーに金銭提供し、商品またはサービスをPRしてもらった場合、

「〇〇(主体名:企業名・プランド名など)との謝礼をいただいて投稿しています」

このような明示が求められます。

ユーザーにとってわかりやすい誤解のない表現であれば、文字・写真・画像・音声・映像など明示の方法に決まりはありません。

ハッシュタグやタグ付けで関係性を明らかにする

インフルエンサーは広告主から金銭の提供があった場合、「◯万円の謝礼をいただいて投稿しています」のような明示が必要になるものの、そのような直接的な表記は広告主とインフルエンサーの双方に抵抗感があり現実的ではありません。

そのため、以下のような「便益タグ」を明示することで広告であることが認められます。

出典:WOMJガイドライン

便益タグは「#プロモーション」のようなハッシュタグではなく、【プロモーション】のように表記することも可能です。

Instagramのブランドコンテンツ機能の利用

2017年頃から、Instagramはステマ対策の一つとして、インフルエンサーの投稿のヘッダーに「〇〇(ブランド名)とのタイアップ投稿」のタグが明記できるようツールを提供しています。

これにより、広告主とインフルエンサーとの関係性をユーザーにわかりやすく表示し、商品や・サービスを宣伝することができる機能です。フィード投稿だけではなく、ストーリーズ投稿やリール投稿にも「〇〇(ブランド名)とのタイアップ投稿」のタグが明記できます。

instagram @aimeesong

出典:@aimeesongインスタグラム

今までは一部のインフルエンサーが使用できたツールでしたが、2021年6月までには全ユーザーがこのツールを使用できるようになり、広告主との関係性を明示することが義務化されます。

また今後、商品がどのようにPRされているのか理解し、承認されていない投稿や不適切なラベルが付けられている投稿の削除を依頼できるようなツールが導入され、徹底的にステマを排除する方向です。

おわりに

 SNSの普及とともに、さらなる市場拡大が見込まれるインフルエンサーマーケティングですが、インフルエンサーマーケティングを行う上では、広告主とインフルエンサー双方にステマに対する知識を向上させる必要があります。

また、知らぬ間にステマに加担してしまわないよう、質のいいインフルエンサー選びも重要になってきます。

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